桐朋学園音楽部門同窓会

メニュー

オーケストラ・コンサート
2002.09.16

オーケストラ・コンサート

2002年9月16日(月・祭)14時 超満員のサントリーホールの客席のざわめきが静まり、オーケストラ・メンバーの着席する前で、江戸京子会長が「今回の同窓会企画によるこの記念事業の目的は、私達を教え育ててくださった創立期の先生方の熱意と、それを経済的に支えた江戸英雄等の業績に感謝し、私達の受けた素晴らしい教育を、これからの若い音楽家達に継承していくことにあります。小澤征爾氏をはじめ、この主旨に賛同してくださった方々が、全員ボランティアで参加してくださり、この事業を実現することが出来ました。同窓会として、大変感謝しております。」という主旨の挨拶があり、小澤氏の指揮の下、「エグモント序曲」が始まった。

 

最初の響きが、サントリーホールを満たした瞬間-やっとこの企画が実現されているのだ。-と云う実感に涙がこぼれそうになった。此れ迄の2年半の間の長かった準備期間が、走馬灯の様に想い出された。

 

2002年2月。実に6回目(2001年7月より)のViolinソリスト・オーディションがオペラシティ・ホールで行われた時(チェロはすでに2名が決定していた。)、小澤さんが「皆とても良いから、中学生(当時)でもあるし、楽章ごとに演奏してでも多くの人を紹介するのはどうか?」という提案があり、今回の演奏会の主旨を鑑み、実行委員会は賛同した。その結果、オーケストラの曲目が限定されてしまう事はやむを得なかった。ソリスト6名の内4名(Vl.2、Vc.2)は、オーディション当時中学生であったが、本年4月より、全員揃って桐朋学園音楽部門女子高等学校音楽科に進学された事は、本当に喜ばしい事であった。

 

チケットは即日完売となり、同窓会員への特別回線を設置したにもかかわらず、多くの方に御迷惑をかけてしまった事を、この紙面を借りて深くお詫びしたいと思う。

 

なお、9月16日当日の会場練習は、500名に限り公開となり、桐朋音高生170名(安良岡高校部長引率)、音教生を含む小中学生200名、その他、敬老の日に因んで、公募により抽選で100名の60歳以上の方が参加した。2時間半以上の間、子供達を含め、殆どの人々が身じろぎもせず、熱心に聴き入っている姿は非常に感動的であり、子供達の集中力は1時間が限度であろう、という私達の危惧は、見事に覆された。これこそが、本物の持つ音楽の魅力だと思った。

 

そのあと、全員が退場してから(開場13時30分)の本番準備のためにホールのスタッフの方々の働きは、見事なものであった。すでに、場外では開場を待つ方々、また、数少ない当日売りを待つ方々の列があった。

 

13時半、いよいよ開場。私達も緊張する。ホールのスタッフの方々、受付担当理事もそれぞれの持ち場につき、記念プログラム担当の岡本、山田両委員もスタンバイ。ロビーはすぐに人で満たされ、あちらこちらで再会を喜ぶ声が聞こえてきた。

 

プログラムの前半が盛大な拍手で終わり、後半が始まる前に、小澤征爾さんが、僕も一言、と挨拶をされた。「桐朋創立期の先生方が、如何に大きな情熱を持って我等を育てて下さったか、また、学校という組織として運営していくために、当時すでに経済界の重要なポストに居られた江戸英雄氏が経済人に呼びかけ、大きく支援して下さった事を、我々は本当に感謝しています。その、大きな業績をここに偲び、今度は私達卒業生が、若い音楽家をサポートする時期であると思います。-今日は、若い人達にいじめられる会です。-」と、最後に冗談を言われ、会場には笑い声が。

 

6人のソリスト達は物怖じせず、夫々の個性を発揮し、それを支えるオーケストラは、練習の度毎に皆の呼吸が合ってきて、本番は実に素晴らしく豊かなP、PPでソリストをサポートしてくれた。ベテランの演奏家達が真剣に温かく後進の演奏を支え、その共同作業に心を打たれ、共感を覚えた人は多かったのではないかと思う。これこそ桐朋、という反響が、コンサートの後に多く寄せられた。

 

2年半前に始められたこの企画が実現するまでには、実に多くの予期せぬ問題がいろいろと起こったが、「マネージャーなしで、手作りで。」という最初からの方針を守り抜き、実行委員会のメンバーをはじめ、多くの方々の献身的な協力のお陰で、この日の実現に漕ぎ着けることができた。

 

特に、海外在住の超多忙な小澤征爾さんとの連絡には、志賀佳子さん(1期生)、オーケストラ・アドバイザーには、堀伝さん(1期生)、大友直人さん(23期生)、ライブラリアンには安生慶さん(6期生)、合田香さん(36期生)など、実に多くの方々の協力があった。

 

また、オーケストラの練習のために、学園側が練習日当日、仙川の新館校舎4Fを全面的に解放して下さった事は、この紙面を借りて、心より感謝申し上げたい。

photo by 堀 衛

担当副委員長 二宮 和子(2期生)

ページの先頭へ